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「……ん?」
ガラス張りのエレベーター。1つ隣のエレベーターが上昇してきて私達より僅かに下の階で停止しました。
私達が下降を続けると、そのエレベーターに乗っているものが見えました。
「んなっ!?」
巨大な針ネズミのように大量の銃を生やした兵器。それが乗ったエレベーターが、ピッタリ私達に合わせるように下降を開始。
多方向に伸びた銃身が、ギミックによりゆっくりと駆動を開始。全ての銃口がこちらを向きました。
「やばっ……!!」
私はすぐに適当な階のボタンを押そうとすると、けたたましくガラスが破砕する音と共に、鼓膜がはち切れそうな程の集中砲火が始まりました。
「つぅあッ!?」
咄嗟にトンファーを構えて、迫り来る弾丸を全て弾き落として防ぐ。いくつかの弾が太股に食らいつき、腕や脇腹を掠めていく。
「こっ……のぉぉぉぉぉ!!」
一人だけならガラス扉ブチ割って脱出も可能なのですが、私の後ろに伸びる影の中にナナがいます。
「ナナ!適当な階のボタンを押してください!!」
そう言うが、ナナは動いてくれませんでした。操作盤は月光に照らされているのに気付き、無理なんだと即座に理解しました。
でもこのまま1階まで防ぎ続けるなんて……無理です。このままでは蜂の巣になります。
……ナナに頑張ってもらうしかありませんね。
「ナナ!」
「……でもっ、でも!!」
銃声に掻き消されそうな震えた声が聞こえました。一体どうすれば……。
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