天空の桜の楼閣

36/39
前へ
/628ページ
次へ
「くっそ……この野郎!」 飛び掛かる戦闘マシンの胴を蹴り飛ばし、仰け反った所に数発撃ち込む。大して効果はない。だが押し退けるには十分だ。 「蘭丸!」 先にエレベーターに辿り着いた月弥が何故か俺に銃を向ける。 「真っ直ぐ走って!!」 「……はいよ!」 月弥を信用して真っ直ぐ駆け抜ける。 すると前方からのマズルフラッシュと同時に、俺の背後や頭上にいる戦闘マシン達がイングラムで撃ち抜かれていった。 俺や麗佳には一発も被弾していない。恐るべきコントロールだ。 もう少しだ。 鉄のリフトに乗り込むその瞬間。 「危ない!!」 麗佳に背中を押された。俺はリフトの中に転がり込む。 後ろを振り返ると真上から俺に飛び掛かってきた戦闘マシンが月弥に蹴り飛ばされていた。 「麗佳!!」 麗佳に向かって手を伸ばす。しかしあまりの猛攻に、手負いの麗佳は精一杯だった。 それどころか奴等は俺達の乗り込んだリフトを壊そうとする勢いで襲いかかってくる。 「はぁぁぁぁ!!」 麗佳の声と共にフルオートの連鎖する銃声。辺りを埋め尽くしていた戦闘マシンがバタバタと倒れていく。 「麗佳!今のうちに!」 「蘭丸ちゃん、下がり。」 麗佳は冷たくそう言い放った。次の瞬間、柱と木の根が俺の目の前に崩落してきた。 間一髪、月弥にエレベーター内に引っ張られて下敷きにはならずに済んだが……。 「麗佳!」 麗佳とはぐれた。砕けた石柱と木片の間から微かに麗佳の姿が見えた。
/628ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2393人が本棚に入れています
本棚に追加