天空の桜の楼閣

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「はッ……はッ……ふぅっ……はぁっ……はぁっ……。」 もう一体何分動き続けているんだろうか。 足元に積もる残骸が足を掴み、舞いにくくなっていく。 乱戦で片方のP90を一挺無くした。今は左手に残り一挺のP90と、右手に敵の腕からもぎ取った刀状のレーザーブレードを使っている。 「やぁっ!!はぁっ!!」 レーザーブレードで敵を斬り倒しながら、銃撃も織り混ぜて疾駆する。 からからに乾いた口。沸き出す唾液は片っ端からすぐに喉を通って流れていってしまう。 「ハッ!」 目の前の敵に刺突を放つ。胴を貫き、さらに真上に振り抜き腹から頭を真っ二つにする。 背後から武器を振り上げて迫ってきている敵の気配を察知。振り返る必要なんか無い。頭上で柄を逆手に持ち変えて、自分の腰に刀を差すようにして、相手に突き刺した。 「うぁっ……!!」 走り出そうとしたら足元のスクラップに足を捕られてよろめいてしまう。遠方から放たれた無数のマシンガンの弾丸がふくらはぎや背中に命中して激痛が走る。 しかし止まらない。 踊れ。 踊れ。 踊れ。 踊れ。 舞い踊れ。 死して尚も鮮やかに。 死して尚も狂おしく。 死して尚も華やかに。 敵が全滅するか、ウチが果てるか……。その最期の一瞬まで、踊り続けろ!! 「ああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 治りかけていた傷は全て開いた。黒い着物は血にまみれている。まるで紅葉の染め抜きのように。 口から血が溢れる。只でさえ悪い視界は完全に霞み、無いも同然。辺りに散るオイルと自分の血の臭いに、鼻も効かない。全身を駆け巡る激痛のために意識を集中させることも容易くはない。 それでも。 「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッ!!」 舞い続けろ!  
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