時計兎

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放課後 「皐月は多分もう家に帰ってると思う」 で…… 何で僕は結局こいつについて行ってるんだーーーー!! クセろいうか何と言うか、僕は砕牙と一緒に帰っていた。 「前は『ガラスの靴はシンデレラさんだけの物だから他の人には履けない』とかって色々説得してくれて助かった」 「あれも大変だったんだぞ……」 「俺は上手く説得が出来ないからな」 「お前は口下手だから言葉が足りないんだよ 僕は昔っから妹達の世話して来たから扱い方が大体分かるけど」 「コツみたいなのあるのか?」 「んー……慣れかな?」 「慣れ……か…… 三年経つが未だに慣れん」 「だろうね……」 そんな会話をしながら歩いていた時、砕牙は鞄の中から不思議の国のアリスの童話を出した。 「この本によると本を読んでいたらチョッキを着た兎が時計を見ながら目の前を走って行くんだったよな?」 「僕はそこまで熟読してないから確かなことは言えないんだけど…… って、持ってるなら見ればいいじゃん」 僕は砕牙の手から絵本を取り、開いた。 少し読み進め、 「ああ、確かにチョッキを着た白兎が時計見て『わあ。大変だ。遅刻、遅刻だ。』とか言ってるってか、全然緊迫感が伝わらないよ 絶対大変じゃないだろ」 僕がそんなことを呟いた時 『わあ。大変だ。 遅刻、遅刻だ。』 「だから!全然緊迫感がないって!!」 と僕が怒鳴って顔を上げると…… 赤いチョッキを着た、2、3歳くらいの子供の大きさをした白兎が時計を持って、二本足で目の前を走って行った。
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