0人が本棚に入れています
本棚に追加
ある一人の少女がいた。母、父、兄の四人家族。
少女は高校三年生。クラスにはたくさん友達がいた。 美容師になる夢を持っていた少女は、卒業後、美容専門学校に進むと決めていた。
ある日いつものように授業を終え、終礼後友達のところへ行くと、彼女達はいつもとは違う雰囲気で、何かを話しているようだった。
「帰ろう」、と言うと、またいつもの彼女達に戻った。
帰宅すると、兄が自分の部屋から出てきたように思われた。
「あれお兄ちゃん、私の部屋、入った?」
と尋ねると、兄は「入ってない」と答えた。
その日は珍しく父の帰宅も早く、四人揃って食卓についた。
父は兄に大学でうまくいっているか聞いたり、母に庭の掃除のことを相談したりし、少女には、「専門学校だからって気を抜くな」と言った。
別に少女の成績が下がったわけでもなかったのに、父はいつもより厳しく言った。
なんだか、違う家で食事している気分になった。
いつもはテレビやケータイで夜更かしをする少女だが、何故かその晩は早く眠ってしまいたかった。
最初のコメントを投稿しよう!