坂田 愛

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僕と彼がはじめて会ったのは1年程前。 ちょうど世界的大スターの俳優、瀬戸内 謙(せとうち けん)さんが亡くなられた次の日だった。 その日は前の晩からどしゃ降りの雨が降っていた。 僕は当時フリーターをしていて、コンビニに弁当を買いに行った帰り、傘をさしながら歩いていた。 右手にコンビニの袋をぶら下げながらボヤッと街並みを眺めながら歩いていると前の方に傘も持たずにじっと佇んでいる男の姿が見えた。 男は当然びしょ濡れで、どこか悲しそうだった。 何してるんだろ? あんなことしてたら絶対風邪ひくし… しかもどこか寂しそう。 しばらく男のことを考えているとその男と目があってしまった。 僕はその時特に気にせず男の横を通り過ぎようとした。 「結局1人になるんだよなー なぁ、笑っちまうよな… はは… 結局1人なんだよ…」 通り過ぎようとした僕に話しかけたのかは定かではないが男は言葉を発した。
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