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金髪碧眼の男前は、冒険者の酒場を出たところで、ねっとりした視線を感じた。
酒場では人形師に詳しい骨董商の名を聞けた。
首尾上々。
酒場や宿屋のマスターたちはにこやかだし、ウェイトレスたちの笑顔は可愛い。
それら、好意的な意識とは違う。
呪いというか…
自意識過剰と言われても仕方ないが、何度も覚えがある気配だ。
特に、街の若い女性たちに知られるころから、毎回よくある。
(この街では、まだ女と遊んでねぇンだけどな)
気配に気を配りながらも、エリアルは次の目的地へ急いだ。
紹介された美術商は、その角を曲がった先に泊まっている。
ヒュォッ!!
耳元で風が切れる音だ。
無言でその場で膝を曲げて跳び上がった。
「うぉっと!」
踵の下を、横倒しの樽が転がっていく。
着地様振り返る。
目線が合った男が1人。
エルフにしては人相が良くない。
「ダークエルフか?」
「だったら何だ?」
吹針で気を逸らした上で、足下に樽を転がしてくれた犯人は、吐き捨てるように言った。
「…待て!」
踵を返した嫌がらせ犯人と被害者は、大通りでチェイスを始めた。
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