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「てめぇ、ノーベルのガキ…」
「ガキではない!!」
浅黒い肌の中年エルフが、言ったに、現れた楽師は即座に反駁した。
「僕は、バートランドだ。
『銃使いの弟子』では最早ない」
既に養女を1人成人させたエリアルは、演奏を止めてムキになっている彼を観察した。
自分と同じ年頃かと思ったが、師匠の形見の人形に拘る宿屋と同じくらいかも。
実年齢は、宿屋の倍以上だろうけれど。
「ハッ、いくつになっても、弟子は弟子だ」
ゼノンと言うらしいチンピラのケチに、楽師が八重歯が見えるほど鼻を顰めた。
「フン、やはりまだガキだな」
そのセリフは、宿屋に対してエリアルも良く思う。
笑いをこらえて目だけで右上を見た隙に、楽師は左手の弦楽器をチンピラに勢い良く投げつけている。
チンピラは反射神経で避けた。
その尻をかすった弦楽器は、石畳に落ちる際、見た目にそぐわない金属音を立てた。
ガシャン!!!グワンクワンクワン…
「………鉄製?」
(バイオリンて、木で出来てるんじゃなかったっけ?)
ムッツリ大股に歩みより、楽器を拾い上げた楽師の腕っぷしは、引き締まった筋肉がみっちり付いていた。
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