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「……え…ええ~~?」
楽器で戦うなら、召喚か魔曲だろうが、あの鍛え方なら普通に殴った方が手っ取り早いだろう。
「鉄箱投げんじゃねぇよ!
死ぬだろう!!」
「失敬な!バイオリンだ!」
「バイオリンでいいンだ…」
思わず口を挟んだ金髪のハーフエルフを、白と黒の違いはあれ、純血のエルフたちは同時に振り返った。
「…あ、いや、さすが、錬金術士の国はイロイロあるネ」
再び、純血種同士は向き合い、敵意をぶつけ合う。
次は、あの改造バイオリンを鈍器に接近戦か。
ピィィー ピィィー
再度の呼び笛に、黒エルフは舌打ちし、空や周囲を仰いだ。
「ゼノン、警備隊が来る!」
エリアルの脇を走り抜けて、耳の尖った丸顔の青年がダークエルフに寄った。
背が低いとは言わない。
しかし、小兵ならではの、はしっこい動きに、親友の女剣士を思い出した。
あちらは銀髪、こちらは深緑の髪。
好奇心の強い自信家でなく、下を向いて常に謝ってそうだ。
大人しそうな青年である。
18、9歳くらいだろうか?
「ロス!
いい加減にしろよ!?
君も警備士ならば…」
リボンタイの青年がキツい口調で叫んだ。
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