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「警備士?」
エリアルは、再び親友の女剣士を思い出した。
そうか、だから、身のこなしが似てたのだ。
彼女も基礎訓練を警備隊で受けたろうし、深緑の彼もそうなのだろう。
童顔だが、苦労で大人びた風貌の青年に、中年手前のチンピラ・エルフは、舌打ちした。
忌々しそうだ。
「覚えてろ」
捨て台詞に踵を返し、青年に先導されて大通りを悠々と去っていく。
青年があちこちに頭を下げて歩むに、人混みも野次馬も道を空ける。
「…態度はでかいが、情けない奴だな…」
「ロスが警備士に昇格してから、酷くなる一方だ」
エリアルは、声の方に振り向いた。
当然だが、鍛え方が楽師らしくない細マッチョがいた。
「一昨年なったばかりの末席第八位といってもな。
毒師ロスに逆らう奴はいない。
食べ物、水。毒は皆怖い」
軽々と鉄製バイオリンを肩に担ぎ上げる。
「ま、僕も、警備士だが」
彼は、入隊時からあの筋肉で、基礎訓練はしてないだろう。
キャラ的に。
そんな三枚目な美形が来た方から、大勢が走ってくる気配がしてきた。
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