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今度こそ現れた警備隊、この街の治安を預かる組織は、10人の下級兵を2人の上級士官が率いていた。
「バートランド、お前か、笛吹いたのは」
士官の1人は、鬢から頬、顎に髭が繋がっている、あからさまにガニ股の中年男の人間だった。
軍服の詰襟は開いていて、布地は擦り切れてヨレヨレ、腰には2丁の銃がホルダーに釣り下がっている。
「僕じゃない。ロスだ」
楽師の若者は、楽器を肩に担ぎ、詰まらなそうに言った。
若者は不調法だが、中年は構わない風だ。
「厄介な目に遭ったな、エリアル」
2人目の士官は、年頃の娘らしい健康的な体格に服が収まっている。
キチンとした襟の上には、形の良い唇と短い銀髪の顔。
「アリスン、お前こそ良く街に居たな!」
エリアルは知らず声が高くなった。
娘は、自信満々にハキハキ喋る。
「さっき戻って警備隊の事務所で報告してたのさ。
…ノーベル様、バートランド、彼がエリアルです。
ロックの、いや、フリンの弟子のとこに居候している」
髭面ガニ股は、不細工だが気持ち良く破顔した。
「いやぁ、ロックで判るぜ!
悪かったな、この街を、嫌いにならないでくれよ」
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