武官と文官

4/12
前へ
/563ページ
次へ
アリスンは、先輩に当たるノーベル警備士と共に、警備隊詰所に戻った。 「ご、ご苦労様でした」 新人の占い師は緊張している。 「お疲れ。遠視は正しかったよ」 アリスンが簡単に報告すると、20代前半の占い師は、水盤を前にホッとした顔になった。 ノーベルは、新人のフォローは若くて美人の後輩に任せ、黒ずくめのインテリ紳士な警備士長に真っ直ぐ向き合っていた。 外見に比べ、警備士長は勿体ぶらない性格だ。 自分から、切り出して来た。 「バートランドはどうした」 「被害者に同行させました」 警備士長は、2、3頷いた。 「アリスン、手が空いたらマリアの様子を見てもらいたい」 「わかりました」 新人は、秀才マリアの代役だ。 彼女が健康を取り戻せば、即刻元どおりに交代だろう。 代打の新人は、前任の果たしていた役割に追い付けず、明らかに疲れきっている。 帰ってきたばかりのアリスンの任務の報告書が、警備士長から逆にアリスンに手渡された。 「中身を確認したまえ」 「…はぁ、わかりました」 街の騒ぎを見に行った間に、口頭の報告から推測で書かれた顛末書には、修正を入れる部分は殆ど無かった。
/563ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加