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アリスンは、先輩に当たるノーベル警備士と共に、警備隊詰所に戻った。
「ご、ご苦労様でした」
新人の占い師は緊張している。
「お疲れ。遠視は正しかったよ」
アリスンが簡単に報告すると、20代前半の占い師は、水盤を前にホッとした顔になった。
ノーベルは、新人のフォローは若くて美人の後輩に任せ、黒ずくめのインテリ紳士な警備士長に真っ直ぐ向き合っていた。
外見に比べ、警備士長は勿体ぶらない性格だ。
自分から、切り出して来た。
「バートランドはどうした」
「被害者に同行させました」
警備士長は、2、3頷いた。
「アリスン、手が空いたらマリアの様子を見てもらいたい」
「わかりました」
新人は、秀才マリアの代役だ。
彼女が健康を取り戻せば、即刻元どおりに交代だろう。
代打の新人は、前任の果たしていた役割に追い付けず、明らかに疲れきっている。
帰ってきたばかりのアリスンの任務の報告書が、警備士長から逆にアリスンに手渡された。
「中身を確認したまえ」
「…はぁ、わかりました」
街の騒ぎを見に行った間に、口頭の報告から推測で書かれた顛末書には、修正を入れる部分は殆ど無かった。
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