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アリスンが警備隊の仕事とは関係ないお節介に煩わされている頃、エリアルは新しい友人と、共通の友人の事務所へ向かった。
15、6歳の人間の見習いに、主は留守と言われ、2人してエリアルの逗留先、宿と飯の『人形亭』に向かった。
人形亭のカウンターに、ヤンはいた。
昼食の賄いが湯気を立てていて、ドアベルに振り向いた丸眼鏡が曇っている。
人間が経営する飯屋に、エルフの客が3人となった。
「いらっしゃいませ…」
ウェイトレスの少女が怪訝に水を置き、銀盆をいじっているので、エリアルは店の常連であるヤンに聞いた。
「薬草茶でいいのかな?」
「そうだね。何か甘いものもおくれよ。それとも、昼食がまだなら、頼むかい?」
「見繕ってくれよ」
ヤンが宿屋に2、3注文し、すぐに同じ料理が3つ、4人掛けのテーブルに並んだ。
黙々と食事が進み、食後に茶が出る頃は、ウェイトレスも3人の関係を概ね理解できていた。
宿屋が切り出したパウンドケーキ2皿と、塩を振った茹で豆を1皿テーブルに並べ、カウンターに入る。
「…彼女は、エリアルの娘だ。
一緒にこの街に来たんだ。
あまり、ジロジロ見るなよ。露骨だぞ」
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