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水色の楽師は、自分より体格が良い金髪碧眼の拳闘士と、若草色の髪と眼の小柄なウェイトレスを、首をブンブン振り回して見比べた。
「似てないぞ」
「あいつの親に託されて、育てたんだ」
「そうか。じゃあ、僕と同じだ」
楽師は席を立ち、ウェイトレスに歩みよった。
「僕はバートランドだ。第六位の警備士だ。この街で生まれて、育て親は人間だから、エルフの知り合いは大事にしたいんだ。
よろしく」
「どうも…
よろしくお願いします」
無事、握手が済んで、楽師は満足気に微笑んだ。
多少、特に女性に対して、無神経だが、人柄は良いようだ。
エリアルだけでなく、厨房から伺っていた宿屋も、そう判断した。
「で、2人して何だい?」
「…いや、目的は達成したかな」
互いに悪人とは思わなかったが、用心して顔検分に来たと、街が長い学者で商人は合点した。
バートランドは仕事を思えば当然だ。
この街は、エルフやドワーフといった長命な精霊族が他の街より多い。
エルフとドワーフどうしの反目はもちろん、妖魔や人間といった、他種族とのトラブルが昔からある。
ついでに言えば、白エルフと黒エルフも仲が悪い。
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