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「ロック、しばらくマーズを預かってくれ」
すぐ、出ていこうとする。
厨房から、急ぎ駆け出して来て、宿屋はカウンター脇に置かれた皮のケースに蹴つまづきそうになった。
「大丈夫か?」
「昼間のエルフのか?」
「バートランドが来てたのか?」
宿屋ロックテイルは、修行時代からの昔馴染みのエリートに、昼間の来客を簡単に語った。
「あいつがエリアルたちに注目してなかったとは……私の縄張りだからか」
西の下町は、人間と妖魔や獣人が多く、精霊族は少ない。
アリスンは神族の血を引くが、基本、人間だ。
ただ、親に習った剣が神魔を倒す勇者のソレだ。
純粋な人間のロックテイルは、忘れ物を持ち上げようとして、動かせなかった。
「何が入ってんだ!!」
「…まあ、あいつの獲物だから」
同僚について、勿論良く知っている第七位の警備士は、用心棒に届けてもらえばと提案した。
「どこに出かけんだ?行き先くらいは教えてけよな」
「バロン副師長が行方不明でな。少し調べたい」
宿屋は呆れた。
「お前がやることかよ!」
「誰もやらんよりマシだ」
「ニャァン」
猫が窓から店に入って来た。
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