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かすかに、水滴の落ちる音がした。
木々独特の香りを乗せた爽やかな風が、ひんやりとして気持ちがいい。
風か……
この展開、前にもあったような気が……。
『―――……る』
(え……声がする……?)
薄ぼんやりした頭で考える。頭に直接響いているような……これは誰の声だ?
『―――眠ってる?』
『だいじょぶ?』
「!?うわあっ!」
急速に意識が浮上し、ばっと飛び起きた優弥の目の前には、見たことのない丸っぽい生き物がたくさんいた。
『わ、起きた』
『起きた起きた』
どうやら寝ていた優弥を囲んでいたらしい。
優弥が目を覚ましたことを喜んでいるのか、次々と飛び跳ねている。
個体によって大小さまざまな羽が背から生えており、よく見ると小さくて可愛らしい容姿をしていた。
周りを見渡すと、苔むした柔らかい大地に、千年以上は経っていそうな大樹が見渡す限り生えている。
(ここは……まるで森林のようだけど)
『そうだよ、ここはメーデルランシアの森―――ヴァース』
心を読まれたことに内心驚いたが、それよりも気になるのは聞きなれない単語。
「メーデルランシア?」
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