15人が本棚に入れています
本棚に追加
(……俺ってつくづく順応性の高いやつだなぁ)
優弥がこのメーデルランシアという世界で目を覚ましてから、まだそれほど時間は経っていない。
それなのに、慌てるどころか、自らを精霊アルフェと呼ぶ生き物たちと会話し、高揚感さえ感じている。
優弥は興味が尽きないという様子でアルフェたちに聞いてみた。
「なあ、そのメイティスってのは要するに魔法みたいなもんで、この世界にいるとその恩恵を受けるんだろう?
だったら俺にも使えるのか?」
飲み込みが早い優弥は、メイティスと呼ばれた魔法のようなものが自分にも使えるのかどうか知りたかったのだ。
精霊たちはちょこんと首をかしげて言った。
『メイティス、優弥が倒れているときから優弥の中にも流れていた』
『使えるかどうかは本人次第。想像するのが大事』
その言葉を聞いて俄然やる気が出てきたようで、
「そっか。よし、挑戦してみよう」
と、優弥にしては珍しく積極的に取りかかった。
『目を閉じて……意識を集中させて』
言う通りにすると、なんだか暖かいものが体に流れているのを感じることができた。
『そうしたらそれを―――形にする』
少し考えて、優弥は手のひらに力を集めてみる。
すると程なくして、ボッという音とともに手のひらの上に小さな炎が揺らめきながら現れた。
.
最初のコメントを投稿しよう!