15人が本棚に入れています
本棚に追加
「本当にこんな力があるんだな……」
優弥は試しに一番魔法だと(あくまで優弥的判断で)思える火をイメージしてみたのだが、こんなにカンタンにできるとは思わなかった。
そう考えていた優弥だったが、
『すごい、すごい』
『初めてですぐできるなんて』
「……そんなにすごいのか?」
『すごい。しかも潜在量が多すぎて、溢れてきちゃっている』
見守っていてくれた周りが騒ぎ始めたので、優弥はこれが普通じゃないことを知っておいたほうがよさそうだと思い、苦笑する。
『―――つまり……主がこの世界で生きていくには、これが必要じゃ』
「え……?」
『あ、長だ』
精霊たちが左右によけて道を作ると、そう言いながら優弥の前に一匹のアルフェが出てきた。
といっても、明らかに姿が―――正確には耳の形が―――違う。
そのアルフェは、特に体の大きさと同じくらいありそうな耳が特徴的だが、それにしても周りに比べて落ち着いた雰囲気を醸し出している、と優弥は思った。
「……貴方がこの精霊たちの長なのか?」
『いかにも。
先ほどから主と我が種族との会話は聞いていた。
確かにお主の体は今、仄かにだが光っておる……だが、それほどまでに潜在量が多いと、不都合なことにこの世界では生きにくい』
「えぇ!?じゃあ俺、どうすればいいんだ?」
アルフェの長から衝撃的な事実を伝えられ、優弥は困った。
不思議な発光現象には気づいていたが、自分では戻すことができないのだ。
すると、アルフェは手に持っていた首飾りのようなものを優弥に手渡して言った。
『主は我らの声が聞ける貴重な者。
人が近づかない我らと仲良くしてくれた主にはこれをやろう』
.
最初のコメントを投稿しよう!