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優弥は手渡された首飾りをまじまじと見た。
シンプルな作りだが、細いけれど丈夫そうな紐に通された大小五つの透明な橙色の宝石が神秘的で美しい、と思った。
ふと長を窺い見ると、長もこれと似たようなものを身につけている。
『それはメイティスの量を制限してくれる魔石で作られた魔具だ』
「あ、ありがとう」
少し申し訳なく思ったが、長が満足げな顔をしているので大人しく受け取ることにし、それを首にかけた。
すると光は静かに消えていった。
「おお!俺にしてみればこの魔具のほうがよっぽどすごいがな」
思わずそう呟くと、長は首を横に振り笑いながら言ってきた。
『何を言うのだ。主ほどの変わり者はそうそういないぞ?』
「えぇー」
『あはは』
『きゃはは』
優弥が不満の声を漏らすと、周りの精霊が無邪気に笑う。
そんな些細なことでも、意外と優しい気持ちになれるんだなあと、近くの木にもたれて座っていた優弥はしみじみと感じていた。
そのうちに、この柔らかな空気により優弥に敵意がないと判断したのか、この森に住むらしき小動物が少しずつ集まってきた。
ウサギに小鳥にリスのようなもの。
果ては熊に似た大きな動物さえもだんだん寄ってきたので、優弥は少し困った顔になった。
そんな優弥の様子を見て、長は笑った。
「大丈夫。
こやつらは優弥を特別な存在と思い、興味を示しているだけだ。
……だが、不思議よのう。主は人柄としても運命としても周りから好かれるのだな」
「でも熊はないだろ熊は」
優弥は長に苦笑しながらそう返し、好奇心の含まれた視線が若干痛いが、しばらく静かで心地よい雰囲気を楽しんでいた。
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