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――ちょうどその時、優弥の周りにいた動物たちが、カサカサという微かな音からいち早く何かを察して次々に身を隠し、精霊たちも同様に姿を隠してしまった。
「なんだ……!?」
その異変に優弥が身を固くしていると、突如それほど遠くない所にある茂みからガサッと大きな音がした。
優弥がそちらに目を向けたとたん、走ってくる一つの人影が見え―――「きゃっ!!」
「!?」
そしてその謎の人物は、ずざーっという派手な音と共に優弥の手前で盛大に転んだのだった。
「え、と……君、大丈夫?」
「はぅー……すみません……」
構えを解いた優弥は、起き上がるのを手伝ってあげるべく自身の手を差し出した。
その手を掴む自分より少しだけ小さい手は、転んだ人物がどうやら少女らしいということを示していた。
ちょっと焦りながらも、パタパタと衣服についた汚れを落としている仕草が可愛らしい、白い長い髪の少女。
(え……白い!?)
いきなり現れたことに驚いたが、少女が何の混じりけもない白い髪であったことにもかなり驚いた。
優弥の祖父母だって白髪ではあったが、少女のような白くて純粋な輝きを持っている髪は初めて見たのだから。
その後、優弥が茫然として何もしゃべれずにいるのを警戒していると勘違いした少女は、慌てて話し始めた。
「あ、あのっ、いきなりごめんなさい。
精霊使いさんですよね?
どうかお願いします……力を貸して下さい!」
中2くらいの歳に見える少女は、そう言って優弥に向かって頭をぴょこんと下げた。
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