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少女が一気にまくし立てたあと、しばしの沈黙が流れた。
「……ごめん、状況がよく飲み込めないんだけど」
「え、あなたは伝説の精霊使いさんですよね?
はっ!
もしかして、やっぱり精霊そのものだったりして……!?」
至極当然のことを言った優弥に、不思議そうな顔をして尋ね返してくる少女。
(話がかみ合ってない……)
ため息を一つ吐いた後、優弥はゆっくりと言った。
「俺は、君の言っている精霊使いというものが何なのか知らないよ。
まぁ、まずは自己紹介からかな。
俺は片桐優弥。君の名は?」
「あ、そうだった……私の名前はリティア・ヴァースといいます」
もう一度ぴょこんと頭を下げて名乗った少女―――リティアに優弥はもう一度尋ねた。
「それで、どうかしたの?」
すると、リティアは急に真面目な顔になった。
「ユーヤは精霊使いじゃなくても、精霊とお話しできるのでしょう?」
「……何のことかな」
素直にうなずくのも危険かと思い一応しらばっくれてみるが、彼女には通用しなかった。
「だって私見たんだもの、あなたの周りに光るモノたちがたくさんいたわ」
(あー、見られてたのか)
納得した優弥は、この少女なら信用してもいいか、と結論付けてこの問答に降参した。
「そっか。君はアルフェを見ることができるんだな」
やっぱりね、と的を射た顔で彼女はまた言う。
「だから、お願いがあるの……私に、力を貸してくれませんか?」
詳しい内容は依然わからないが、この少女の言葉からは、何らかの深い事情があって必死なのだろうということが読み取れた。
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