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「うなずいたら、詳しく聞かせてくれるのかな?」
「うん。
……!
じゃあ力を貸してくれるのね!
ありがとう、精霊さんっ」
「え、まだそんなことは言ってな……わぁっ!?」
ぱあっと顔を輝かせると、リティアはすぐに優弥の手を掴み何処にあるのかというほどの力で優弥を強制的に連れて行く。
なす術もない優弥は、どうせ行くあてもないし、まあいいか……と呑気に考えていた。
(それにしても人の話を聞かない子だな……)
最終的に精霊と勘違いされてしまったらしい優弥が、これからどうしようかと考えていると、少し先に木で造られた質素な小屋が見えてきた。
リティアも引っ張るのをやめてくれたので二人で並んで歩く。
「あれは私の住んでいる家なの」
そう言って、微笑んだ顔が少し寂しそうに見えたのは気のせいだろうか?
気になったので声をかけようとしたとき、ぐぅーと誰かの腹が鳴った。
いや俺の腹だった。
若干恥ずかしさを感じながら優弥は尋ねた。
「そういや、今は何時なんだ?」
「今ですか?朝の刻の時間です」
(朝の刻ってことは、まあ朝なんだろうけど。
こことあっちじゃ時間の感覚が違うんだろうか)
どっちにしろ半日は何も食べていないのだから、健全な男子高校生としてはつらいものがある。
「家に帰ったらまず朝食にしましょうっ」
笑いながらそう提案する彼女を見て、この後もなるようになるだろうとたかをくくった優弥は答えた。
「あぁ、お願いするよ」
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