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淡々と話す先生の声を改めてシャットアウトして惰眠を貪ろうとしたちょうどその時、今日の授業の終了を告げるチャイムが独特な和音を校舎内に反響させた。
ホームルーム担当でもある先生が明日の連絡を簡潔に告げる。
早々に号令がかかると、クラスメートは談笑しながら帰る支度やら部活の準備やらと、各自の放課後を有意義に過ごすための用意をし始めた。
「ふわあ……あんまし眠れんかった」
「優弥、今日も委員会があるのか?」
盛大なあくびをした優弥を見て、部活用ユニフォームに着替えながら浩二が尋ねてきた。
「ああ、そうなんよー。全く、こう毎週続くと嫌になってくる」
「ははっ、違いない。お前も災難だな、委員会決めのじゃんけんに負けるなんて」
溜め息をついた優弥と爽やかな笑みで言葉のキャッチボールをしているのは藤原浩二といい、昔からの優弥の親友である。
そんな彼がなぜ冗談を交えながらも心配してくれるのかというと……彼の言った通り、優弥がクラス委員決めのじゃんけんに負けて、学校一仕事がハードな図書委員になってしまったからだった。
「まあ、頑張れよ」
「お前もな、浩二。今日は試合なんだろう?」
「ああ……といっても、今日はテニスだし、ダブルスで休んだパートナーの穴埋め程度だけどな」
やっぱり爽やかに笑う彼は、運動能力に非常に長けているので、どこの部活からも引っ張りだこである。
優弥は苦笑して別れのあいさつを交わし、図書室へ向かった。
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