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「さて、と」
着席した優弥は手に持っていた本を机の端に重ねて置き、とりあえず好奇心のはたらくまま白い本を開いてみた。
「……あれ?」
優弥が驚きの声を洩らすのも当然だった。
なんせ、開いた先、本の中には何も書かれていなかったのだから。
(てか、中も白いと全部真っ白だな……)
心の中でどうでもいいことを考えつつ首をかしげ、ますます不思議に思いながら今度は黒い本を調べてみることにした。
優弥は、こちらも白紙だったらつまらないと内心で考えながら開き、そして安堵のため息をついた。
「良かったー。この本には文字があるな。
……だけど、珍しい本には変わりない、かな?」
優弥は再び首をかしげる。
その本の中に日本語は少なかった。
一行ずつ、英語やら中国語やらフランス語やらアラビア語やら、はては度到底理解出来ない文章らしきものが並べられていて、日本語もまた然り。
どうやらこの本は何らかの説明書で、その説明を多国語で翻訳してくれている親切な本のようだった。
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