5人が本棚に入れています
本棚に追加
/84ページ
あれから数日が経った。
そろそろ次の街へ向かう頃だ。
しかし、セレネはまだ決心がつかずに留まっていた。
すぐに発つよう言われたが、このまま会えなくなってしまって良いのか。
苦しんでいた彼が大丈夫なのか心配だが、あの態度を思い出すと森へ行ってはいけない気がする。
通りに立って歌っていても、いつしか目はエンデュミオの姿を捜していた。
こんな所では、多分会えないだろうと思うのに。
何処までも甘美に捕らわれる。
これ程に支配されるのが、誰かを想うという事なのか。
最初のコメントを投稿しよう!