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それは、一夜の夢のような邂逅だった。
日が暮れるまでには次の街に着ける筈。
そう思って踏み込んだ森は深く、昼間でも薄暗い。
人があまり立ち入らないのか、細い道も生い茂る草や木で所々途切れている。
奥に進む内にいつしか辺りはすっかり暗くなり、霧まで出て来た。
もしかして、迷ったのか。
そう思って足を止めた時には、道を完全に見失ってしまっていた。
深い霧の中では、月の光さえ届かない。
細かな水の粒が髪や衣服を濡らし、寒さを感じさせる。
近くに倒れていた木に腰を下ろして、気持ちを鎮めようと深呼吸を繰り返す。
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