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深くは切れてないものの、笹原はたやすく俺の首筋を噛みきった。
そんな恐怖感に、俺はどうしようもなく興奮していたのだ。
じわじわと痛む首筋の傷から少しずつ血が抜かれていく。
笹原は危険だ。
俺にとっては、いくつもの意味でも……。
これは性への執着か――
笹原という存在に、俺はひかれている。
その意味はただ好きという感情だけではない。
俺は好きと同じ分の嫌いを笹原に対して持っているから。
しかし嫌いと好きの感情はよく似ているのかもしれない。
俺は笹原を嫌いになればなるほど、笹原無しではいられなくなる。
そうとわかっていても、俺は笹原に溺れていくだろう。
「お前なんて……大嫌いだ」
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