幼い約束

14/16
前へ
/327ページ
次へ
慶ちゃんを好き、なんて。 おこがましくて、言えるわけがないけど。 それでも私はなんでもいいから、彼の力になりたかった。 その熱い思いが、なんだか変なほうに行ってしまったんだけど。 でも、その頃の私にはそれが名案に思えたのだ。 「なんだよ、それ。 アホじゃねーの」 あんのじょう、慶ちゃんはあきれたようにそう言って、鼻をすすった。 でもしばらく沈黙したあと、 「サンキュ」 って、ふとんの中から小さな、くぐもった声で、お礼を言ってくれた。 私は慶ちゃんを、少しでも元気づけられたことが嬉しくて。 思わず彼に飛びついて、ギュッとふとんごと抱きしめた。
/327ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3418人が本棚に入れています
本棚に追加