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「ペス、遅い!
さっさと歩けよ!」
鞄を脇に挟み、制服のポケットに両手を突っ込んだ慶ちゃんが、不機嫌に振り返る。
私は駆け足で横に並んで、恐る恐る慶ちゃんを見上げた。
(な、なんだか。
すごく怒ってる?)
約束の時間に遅れた上に、迎えに来させたからだろうか?
(勝手に迎えに来て、勝手に二階から飛び降りたのは慶ちゃんなんだけど……)
そんな反論しようものなら、三日は機嫌が悪くなりそうだ。
今だって、ぶすっとした顔を逸らして、前を向いたまま、私を見ようともしない。
「あいつ、なんだよ」
「え?」
「あの、メガネ」
「ああ!高瀬くん?
私のクラスの学級委員長だよ。
すごく頭がいいの」
「は?
そんなこと聞いてねーよ」
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