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高瀬くんは同じクラスの学級委員長で、頭もよくて、顔もスタイルも抜群な、何と言うか雲の上の存在みたいな人だ。
高校入学から、9ヶ月。
同じクラスで過ごしてきたけど、目立たない地味なタイプの私とは、まるっきり接点がなくて。
実際、あまり話をした記憶もなかった。
その高瀬くんに裏庭に呼び出されて、すでに5分。
いつまでも沈黙を保っている彼に、正直アセりを感じながらも、私は遠慮がちに口を開いた。
「あの、高瀬くん。
話って、なにかな?」
「え?
ああ、うん」
高瀬くんが顔をあげる。
「いきなり呼び出して、ごめんね」
彼は丁寧に謝って私を見た。
ノンフレーム眼鏡に隔てられた理知的な瞳が真っすぐ私をとらえる
その真剣なまなざしに、私は戸惑いながらもなんだか緊張して、背筋をピンと正した。
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