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中学に入ったくらいから、慶ちゃんは自然と私に触れるようになった。
頭をなでたり、手をつないだり、抱きしめたり。
そのたび私は自分に言い聞かせた。
これは人間と犬の間で行われるスキンシップで。
恋人同士の愛情表現なんかじゃない。
だって、私は犬なんだもん。
ペスの身代わりだもん。
慶ちゃんに好かれてるなんて勘違いしちゃいけない。
そうやってココロを凍らせてないと、いつか慶ちゃんに本当に好きな人が出来た時、とても堪えられない気がした。
ペットの線引きは
私が傷つかないために張った予防線。
それでも
慶ちゃんのそばにいれるなら、私はそれだけで幸せだった。
それだけで、充分、満足していた。
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