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だって慶ちゃんは
「さ………ペス。
日曜日は散歩だからな。
迎えに行くから出かけるなよ」
「うん!」
たまにこうして、ご褒美をくれる。
飼い主として無条件に私に構ってくれる。
だから。
それ以上を望むのは、身の程知らずなんだって、私はちゃんと分かっていなくちゃならない。
「日曜日はどこいくの?」
嬉しくて顔を輝かせると、彼はチラリと私を見て、
「ふっ、シッポ振りすぎ」
小さく吹き出して笑った。
理由は分からないけど、いつの間にか機嫌がなおったらしい。
慶ちゃんは気分屋さんだから、たまにいきなりご機嫌になる。
「今度は、少し遠出するか?
繁華街に出て、映……」
「繁華街より、近所がいい!」
言いかけた慶ちゃんの言葉を遮って、必死におねだりする。
「近所って、…いつもそうだろ」
慶ちゃんは不満げに私を見たけど、
「まあ、別に俺は、どこでもいいけど」
とそっけない口調で了承してくれた。
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