2章 傭兵

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真紅の尾をひいてサラマンダーの真骨頂、重突進をかける。 更にユージーンの構えを見て、クラインはピンときた。 ユージーンは、彼自身が最も信頼するソードスキルで勝負をかけるつもりだと。 ヴォルカニック・ブレイザー。 ユージーンが編み出したOSS(オリジナルソードスキル)。 二人が交差し、眩むようなライトエフェクトがぶつかり合う。 交差は一瞬。 ライトエフェクトが収まると、二人は数メートルの距離をあけ、互いに背を向けたまま固まっていた。 それはまるでどこぞの剣客同士の決闘のような静けさの後、ユージーンの上半身が赤いエンドフレイムに包まれ、やがて遅れて全身が消失した。 残されたユージーンのリメインライトがふわふわと浮遊する。 「…………旦那が、負けた?」 呆然と口を開けて、クラインが虚ろな声を出す。 勝負前に、仮に負けてもなどと言いはしたが、実際にユージーンが負けるなどとはクラインは思っていなかった。 クラインだけではない。 観客の誰一人、アスナとてこんな結末は予想していなかった。 「――――クク、アハハハハ!!」 静寂を破る無粋な笑い声。 神聖とも感じられる決闘の空間に、シェイドが無遠慮に足を踏み入れる。 「無様なものですねえ! サラマンダー最強がこの程度とは」 『クク』と押し殺しきれない笑い声がまだ聞こえる。 我に返った観客の一人が、ユージーンのリメインライトへ蘇生魔法を唱え始める。 しかし、もうシェイドはユージーンの事などどうでもいいというようにその光景に背を向け、クラインへ向き直る。 「これで僕達の勝ち、ですね?」 「――いいや」 否定したのはレオだった。 どういう事だ、と訊こうとしてシェイドは気付く。 遅れてクライン達も気付いた。 レオのライフが、イエローに突入していた。 ユージーンの死亡のインパクトが強くつい忘れていたが、このデュエルは『半減決着モード』。 つまり、 「この勝負、引き分けだな」 レオがハンマーを担いでそう言った。
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