3章 断罪者

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(……ソードスキル!?) 間違いなくその輝きはソードスキルによるエフェクト光。 ソードスキルは確かにシステムアシストによって凄まじい威力や速度の技をプレイヤーに顕現させるが、その技に応じた技後硬直を強いられる。躱されでもすれば致命的な隙になる。 しかし目に見えているものが真実。キリトは右に槌を躱し、隙だらけのレオへ剣を突き立てるべく力を込める。 だが、メイスが地面を砕いた瞬間、凄まじい揺れをキリトは感じた。 いくらなんでもレオの凄まじい威力の槌が起こしたものではない。不自然過ぎるこの揺れは、レオのソードスキルが原因だ。 範囲型単発重攻撃『ショックウェーブ』。 このスキルは見た目ほど威力も無ければ、むしろ直撃を狙ったスキルではもとよりない。 このスキルの効果は敵が躱したその先にある。 効果は、槌を中心に一帯にいるプレイヤー及びモンスターに一時的な遅延時間(ディレイ)を課す。 「く……!」 酔いそうな程激しい上下運動。ようやく効果時間が切れ、体が解放される。 レオも既にスキルディレイを終えている筈。しかしレオの武器はメイス。攻撃方法は振り下ろしか薙払いの二種のみで、そのどちらも片手剣に比べれば予備動作は遥かに時間がかかる。 キリトは最速を走る突きを放とうと構えるが、その胸元にレオの強烈な拳が突き刺さった。 「ゴフッ!」 息がせり上がるような錯覚。その隙に、レオがメイスの攻撃モーションに入る。すぐさまキリトはバックダッシュで距離を取った。 レオは振りかぶった体勢で止まる。 距離を取ったキリトは、隻眼のメイサーを見つめ改めて思う。 強い。 大振りの武器より小回りのきく剣が有利。それは確かに間違っていないが、剣よりも拳の方が速いのは同じ理由で当然だ。 拳術スキルはノーム領で習得する事が出来るスキルで、無スキルではあり得ない僅かながらのスタン効果を生む。 さらにレオの場合、ナックル装備の上その高い筋力値により、きちんとダメージ計算もされる。
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