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『事情?そんなもんあるか』 君はユーモアのセンスがある と、狐は言う 『こやつに事情なんぞ存在せんよ ただ遊びたいだけなんだろ?』 『……………』 あいつは何も答えない それどころか微塵にも動こうとしないのだ さっきまでの威勢は、この狐の登場によって掻き消されてしまったようだ この狐は何者なんだ…… 『我輩は頼まれて来ただけだ』 「読心術!?」 『顔に書いておるぞ? 噂の通り、やっぱ面白い人間だな』 狐はそう言って甲高い声で笑った 『頼まれたと言っても、タダではないぞ? 我輩も生活があるのでな』 「金を取るのか?」 『きゃはははっ!本当に面白いやつだ! あんなもん我輩には不要だ まあ、話はさておき現状をどうにかしようかのう』 そう言って狐は、右手に持っていた薙刀を軽々と持ち上げこう言った 『さて、切り殺されたいか焼き殺されたいか……好きな方を選ばせてやるぞ? 座敷わらし』 『……………』 「ざ……座敷わらし!?」 『なんだ……そんなことも分かっていなかったのか』 「僕は普通の人間だ お前らみたいに特別な存在じゃあない 知らないこともあって当然じゃないか?」
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