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僕がそう言うと座敷わらしは起き上がり言った
『いつから気づいてたんだ』
「ほんの数分前だよ 何でかな……そんな気がしたからかな?」
やはり面白い と、狐は言っていたが僕は無視して話を続けた
「なあ座敷わらし お前は何で嫌になったんだ?」
『答えない……訳にはいかないようだな』
「もちろん答えてもらうよ」
『俺は福島のある民家で座敷わらしを勤めていた 少し前までは住人や近所の子供達と遊んだりして楽しく過ごしていたものだ
60年前程の戦争の時も俺は、その土地を守った 誰も失いたくなかった 誰も不幸にしたくなかった
俺はみんなを守ることには成功したが、力を使いすぎて今までの能力を失いかけていた
それでも俺は良かったんだ また皆と遊べる また皆を守ることができる
また戦争が始まっても俺は皆を守ると心に誓った
でも幸いにも戦争は繰り返さなかった
俺は嬉しかったんだ 愛する家族を守れたこと 愛する土地を守れたことに
でも、それから俺の地獄の日々が始まったんだ
彼らは皆……
俺のことを忘れていった』
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