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あの日は雨だった。 3年前のあの日中学2年生だった僕は夕飯の買い物に出掛け、帰宅途中だった 父さんはいつも帰りが遅いし今日の夕飯も1人で食べるんだな…なんて考え事をしていた時…僕は見てはいけないものを見てしまった… あの時その女性に声をかけなければ、いつも通りの日常を過ごせていただろう いや…これが僕の運命なのかもしれない 「あの~そこ濡れませんか?」 『えっ……』 「風邪ひいちゃいますよ?これ使って下さい」 僕はその女性に傘とタオルを差し出した。家はもう見えているから走って帰ればいいし しかし女性は目を丸くして僕を見続けている 「えっと…遠慮しないで使って下さい」 僕は微笑みかけ再度傘とタオルを差し出した その時彼女は言ったんだ… 『私の事が見えるの?』 「…えっ?」 今度は僕が目を丸くする番だった これが僕と彼女の初めて出会った時の事である
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