勇気を出して。――第一話忘れない。でも、さようなら。

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学校を離れ一人きりの帰り道。 辿り着いたのは古びた一軒の駄菓子屋。 冷気を放つ冷凍庫の中、そこに乱雑に放り込まれているのは 五色のアイスキャンディー。各60円。 その中から迷うことなく白色の……バニラ味のアイスキャンディーを手に取る。 「これください」 店の奥で眠りかけていたおばあちゃんに声を掛けた。 外に出て、袋から取り出したアイスキャンディーを一口かじる。 バニラの甘さが体中にふわっと広がってゆく。 一口、また一口。 全てがなくなったところで手元には木の棒が残った。 そこに書かれてる文字は《ハズレ》。 ため息が漏れる。 「アタリなんて本当は最初から入ってなかったりして」 木の棒を二つに折った私は、再び帰り道を歩き始めた。
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