愛しき日々

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松陰さんの預かっている子で あまりの口答え と 生意気な態度に とうとう破門…。 どんな子 なんだろう? 松陰さんも、晋作、栄太郎、玄瑞、九一は その子の事は 一切喋らない、寧ろ隠したがってる…。 面白可笑しく 噂しているのは、他の塾生だけ、青年は 会って話しを してみたいと 松陰宅に 歩を進めていた。 一方、噂されてる本人は これから、やって来る厄介な 『お兄様』の存在に気が付いた様で、 「ふ~ん。あの有名な 『維新の三傑』と呼ばれた 方が態々 興しとは、 ご苦労な事で…」 と、寝転びながら呟くと 真央は「誰か来るの?先生の お客様かな?どうしよう、先生まだ 帰って来てないのに…」 困っていると、玄関の戸が開く音が聞こえ、真央は 急いで玄関に 向かった。 青年は 驚いた顔をし、噂の子は 女子??と 暫く 真央を 凝視してると 「あのぅ、失礼ですが どちら様ですか?」 青年は 我に返り、「これは 失礼。私は 桂小五郎。君が 天宮須王さんかな?」 真央は 須王ちゃんに お客様?それに 桂小五郎…どっかで 聞いた事あるような…う~ん。 すると 奥から「天宮須王は 俺ですが、何かご用でも?」 笑顔で 応対するも、一瞬桂は 身震いがした。この少年の笑顔の奥に 隠された 何かに… 「真央 悪いけど お茶を 用意してくれないかな?」 そして、桂を居間に通すと 「さて、桂さん ご用件は?大方 破門された珍獣観察ですか?確か 生意気で口答えする餓鬼とか?」 「君は、不服ではないのかい?それだけの理由で 破門されるなんて」 「不服ではありませんよ。¨それだけ¨の理由で 破門するような 器の小さい者など 我が師に非ず それに 桂さんは誤解されている様ですね。俺は 破門じゃなく 自主的に辞めたのですよ」 嫌ですねぇ、小物達の噂話は 尾鰭(おひれ)が付いて 元が小物なのに 余計 小物になっちゃって 影も形もない。
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