愛しき日々

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松陰は 言いたい放題言った揚句 家から飛び出してしまった 須王を漸く探し出し 「探しましたよ…。真央も、皆も心配しています。さぁ、家に帰りましょう」 と 手を差し伸べるが、須王は それに応じず 他人の心配より、自身の心配でも したらどうだ?と言わんばかりの 皮肉ぽい笑みを浮かべ 「今は 一人にしてくれ」 松陰は そうですか…。では、私も勝手にします。と 須王の隣に腰掛けて、 「須王 私を恨んでいますか?この時代に 無理矢理連れて来られた事を」 何を今更……。詮無き事だ。 「先生の方こそ、後悔しているのではないか?生意気な 餓鬼を喚んでしまった事に」 そうですねぇ。でも手の掛かる子程 可愛いものですよ?茶目っ気ある笑みで 答え、しかし、 「貴方達と出会った事に 関して、一度たりとて 後悔なんてしていません 須王、貴方は否定するかもしれませんが、 私達を 助けたい。その想いを懸命に我々に訴えますが、 我々の方は、真摯に受け止めてない…。知る筈の無い 先の話ですからね。 貴方の想いは 届かず、つい きつい物言いになり、相手も 同じく喧嘩になる 思いが 空回り……。 須王、貴方が私達を 駒扱いしていない 事は 私が 良く解っています」 だから、と また悪戯っ子の様な目で 「マダオの言った事は、気にしない事です」 そして、須王の頭を撫でながら 未来の言葉は 面白いですねぇ。松陰は思い出し笑いをし、 須王は あのオヤジにマダオ発言した 真央へ 溜息を吐き、ネチネチ煩いだろうな…。げっそりした。 そして 夜空の煌めく星を見詰めながら 「未来か……」と、ぽつりと 呟き、 「先生達に 見せてあげたいですよ。我等が居た未来を……」 お前達のお陰で、我等の未来がある。しかし…我が国の未来の姿を見た時 命を懸けて戦い、時代の徒花となった お前達は 何を 思うのだろうな? 失望か?それとも、達成感か?
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