舞わりだす 運命

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2012年--- ここから、物語は 始まる。 「助け……て……」 「ど………か…… お願………たす………」 必死に 懇願する、願いの言葉に 一人の 青年は 欝陶しいそうに、「またか…」と 呟く。 青年は、長い ソファーに肩肘をつき、寝転びながら 青年の 屋敷の廊下を 勢い良く 走る音の方へ 目線だけ 向けると、 栗色の緩やかな ウェーブの掛かった 小柄な少女が息切れしながら、部屋の 扉を開け 青年の前で 俯いて 後に 続き、また別の青年が 頭を掻きながら 屋敷の主の 青年に 「あーっ、すまん。須王 コイツの 子守頼むわ…」 須王と 呼ばれた青年が 少女を 見詰めると 今にも 大きな瞳から、涙が 零れ落ちそうな 目で 何かに 耐えている様子だ。 須王は 青年に向け 淡々と 「榊、担任のお前が 付いて いながら 何故 真央の傷やら 痣が 絶えない? 警察には……」 その時、真央と呼ばれた 少女が 須王の話を遮り 「駄目!!」と、必死に 懇願する。 須王は 榊と呼ばれる 青年に 目を向けると、 榊が 首を横に振り、お手上げ状態と ジェスチャーして見せる。 はあっ、と溜息をつき、 須王は 真央に語り掛けようとした時、 『お願いです!!あの子達を 助けて……』 今まで 途切れ途切れの声が 今度は ハッキリとした 声音で 聞こえ 榊「おいおい、今のなんだ? お前ん家 幽霊屋敷 かよ」 と、手を前に持って行き 幽霊のポーズを とって見せる。 一方の真央も、須王に しがみつき 「今の声、誰?!」 と 震えながら 尋ねると 須王は 一人 納得した様子で 「成る程。駒が揃うのを 待っていた 訳だ…」 と 口角を上げ 虚空を睨みながら 「榊、どうやら お前の好きな 奴等に出会えそうだぞ?」 須王の 謎の言葉に 榊は 尋ねようと したが、時既に遅く、忽然と3人が 屋敷から 消え去った。
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