愛しき日々

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須王と真央が、幕府終焉の時代に来て 一年が過ぎ 『安政5年』 晋作は 藩命により江戸へ遊学。同じく 玄瑞も江戸へ遊学する事になった。 真央の提案で、晋作、玄瑞の お見送り会を する 事になり、 須王、真央、松陰、桂、栄太郎、九一と いった顔ぶれだが、二人は宴の為の料理を作りながら、 「須王ちゃん、解っていると思うけど、今日は 晋作さんと 玄瑞さんの、お見送り会なんだから、桂さんと 喧嘩して空気壊さないでね!」 須王は、はいはい。と言いながら 「真央、こっちに来てから 随分 成長し逞しくなったな…。俺と出会った時の事 覚えているか?」 そんな会話をしてた時、微かだが 「栄太郎、盗み聞きとは 良い趣味持っているな」 名指しされた 栄太郎は、しれっとした顔で 「盗み聞きなんて、人聞きの悪い言い方しないでよ。二人が 勝手に話しに盛り上がってた だけだろ?」 気配まで消して よく言えたものだ。須王はチラッと真央を見たが、真央の方は、栄太郎を見て 恥ずかしそうに 俯いて頬を染めている。 成る程ね…。若いご両人の お邪魔虫って所か、やれやれ…。 栄太郎の肩を軽く叩き 後は 宜しく。俺、酒買って来るわ。と、作業を中断し出て行って しまった。 須王は、まさか あの二人がねぇ。「真央も 漸く春が来たか…。しかし、よりにもよって 性格難の栄太郎か…」 重い溜息を吐くと、 後ろから「僕が なんだって 言うのさ」と 噂をすれば 本人がいるではないか。 須王は おいおい、俺は気を利かせて 二人だけにしたのに お前が出て来てどうすんだよ…。野暮な奴め。 「あのさ、気を利かせた みたいだけど、僕 女に興味無いから だから、真央ちゃんの事 何とも思ってないんだよね」 栄太郎の 爆弾発言に 物事に あまり動じない 須王が 目を丸くして、 「おっ、俺も男に興味無いから」 噛み噛みで 返答すると、 栄太郎は、そう、気にしてないから。と意味深な発言をし、須王は恐怖で 固まった……。
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