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しかしながら、『悪の組織』にしても、『正義の味方』にしても、大本は一緒だということは、実はあまり知られていない。加えて、彼らがどうして存在しているのかも、これまた同様。
突飛な話だと思うかもしれないが……“彼ら”を組織したのは、『政府』。勿論、国の政治を行い、国民の生活の基盤を作るあの『政府』。
何故、政府はそのような秘密結社を組織する必要があったのか? それには二つの大きな要因が存在する。
一つは、国民の政治不信の目を、違うところに向けるため。
相次ぐ政権交代や、官僚の汚職事件。国民の与り知らぬところで強行採決される法案の数々。その他諸々の、政府が行ってきた愚考、愚行の数々は国民の不信を招くのに充分な材料であった。当然支 持率も下がり、国民の政治的無関心の加速度的増加にも拍車がかかる。
そこで、政府がとった一つの打開策が『自作自演』。
悪の軍団が市民を襲い、それを“政府が組織した正義の味方”が助けに入れば、『正義の味方』の民衆からの評価は上がり、同時に『政府』の国民からの信頼度も上がる。また、悪の軍団の改造人間軍団を用いて、反政府組織に秘密裏に攻撃を加えることも可能だ。
存在理由二つ目は、外敵からの国内の防衛、及び駆逐のため。
『悪の組織』などは、公に認められている組織ではないので、人体実験などが比較的容易に行える。
人体実験――即ち、改造手術を施された人間は、およそ常人には得られないような超絶的能力を身に付けることができる。
それは兵器にも勝るとも劣らない――むしろ『兵器』と呼んだ方が差し支えがない怪人達は、諸外国然り、地球外生命体然り、巨大怪獣然り……全ての『侵攻』において、国の保持する強力な予備戦力として、政府指揮の下、力を発揮することになる。
例えば、怪人蜘蛛男だって、視点を移せば、『正義の味方(スパイダーマン)』だ。
言ってみれば、『正義の味方』も『悪の軍団』も、政府の思い通りに如何なる手段にも用いることができる体の良い『私兵』。
そして、政府から法外な給料を貰って活動している彼らは――ある種の仕事柄への自虐も込めて――自分たちのことを『傭兵』と呼んだ。
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