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「相手の総数、ざっと三十ってところか……いけるな」
ニヤリと口元を綻ばせる親友――否。そろそろ縁を切ろうかと思ってるくらいの友達。
「たまにはさ、迅。逃げるとか、降参するとかいう選択肢は無いわけ……?」
「ない」
「じゃあ、僕を巻き込まないっていう選択肢は?」
「ないな」
今現在。僕たちは、恐い顔した、とても同じ高校生とは思えないような集団と語らいに興じている……わけではない。
蓮皇高校一の美少女と言われ、数々の芸能事務所からスカウトが来ているほどの、村雨ナツキから『放課後、体育倉庫で待ってます』という旨のお手紙を拝借しちゃったもんだから、付き添いとして、僕の親友――否。そろそろ縁を切ろうかと思ってる友達である、如月迅に呼び出されて来てみれば、この様だ。
「っていうかさ……そもそもナツキちゃん本人から手紙貰った訳じゃないんだったら、その時点で怪しむべきだったんじゃないかと僕は思う」
「……なんだと?」
僕の言葉に対して、無茶苦茶鋭い視線を向けてくれる僕の親友――否。最近割と本気で縁を切ろうとかと思ってる友達。
「……まぁ、いい。どうせここにいる奴らを皆殺しにすれば事は済む話だ」
そんな物騒なことを言って、およそ三十人の恐いお兄さんたちの集団に向き直る僕の親友――否。割ともう他人で良いよ、とか思ってる友達。
「手前を倒せば、ここら一体のワルの同盟は、この手に掌握できる。『破壊神』! 覚悟しやがれぇっ! 行くぜ、野郎共ッ!」
声を震わせながらも、三十人近くの部下達に突撃命令を出す、今回の“アタマ”。
「「「「おお~ッ!!」」」」
そして、向かってくる、三十の『肉塊』。きっと迅なら、彼らのことをもう既に、そういうふうにしか思ってないだろう。
『破壊神』の名前を出してしまった時点で……彼らが一人としてまともな状態で帰れる保証は無くなった。
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