蓮皇高校某所にて

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「な、なんなんだよ! お、俺が……俺たちが、何したって言うんだよ!?」 「いけませんねぇ。自らの罪にも気付かないなんて」 「力無い者には、それなりの生き方がある。お前はちょっと背伸びをしすぎたな」 「ジャーナリズムは時に、誰にとっても不都合な真実だけを映し出すということじゃよ」 「秩序の崩壊の阻止。我らの任務」  一人の少年と、それを物々しい雰囲気で取り囲む四人の執行官。彼らの全身をすっぽり包む白衣装と、天井まで届きそうなとんがり帽子。そして、無造作にはさみで切られた衣装の隙間から覗く八つの眼光は、少年に、かつてのKKK(秘密結社)を彷彿させた。 「俺はただ……好きな女の子の期待に応えたかっただけなんだ! それぐらいでどうし て秩序が崩壊する!? 俺はただ、2-Bのみんなと一緒に……――そうだ! 俺がいなくなれば、クラスの奴らは俺がいなくなった原因を探り出す。そうすれば、新たな真実が露わになる可能性だって……」 「それはない、安心しろ。俺のクラスの奴らに、そんな殊勝な心構えの奴はいない。ってかまぁ、そもそも……お前が消えても、誰もお前がいなくなったことにさえ気付かん」 「馬鹿な。いくらなんでも、そんなことなんて――」  あるはずない。彼のそんな主張が言い終わらぬ内に、耳障りな中年の声がそれを遮る。
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