序章

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 宇宙人。超能力者。巨大怪獣。悪魔。魔族。異世界人。秘密結社。怪人。妖怪。幽霊。スーパーヒーロー。救世主。勇者。魔法使い。ロボット。神。魔王。  果たして、これらの存在が実際に“ある”と思い、今現在毎日を送っている人間はどれほどにのぼるだろうか?  子供のころは信じていた。しかし、大人になっていく過程で、それがテレビの見せる“まやかし”だということに、人々は気付いてしまう。  だが、何故?  どうして人々はそれらが創作物と決めつけることができるのだろうか?  ――ひとえにそれは……『未知』であるから。  会ったこともなければ見たこともない。テレビの中だけに存在するそのような“現実離れ”した存在が、如何にして、“現実の世界”に関与することができるだろうか?  ある意味ではその認識は正しい。見たことがないモノは、存在しないモノとして割り切ってしまった方が、はるかに都合が良い。  だがしかし、見たことがないからといって、それは存在しないと言い切れるのだろうか? “人間”が、誰も会ったことがなければ――よしんば会ったことがある人間がいたとしても、それを他人に情報として伝えることがなければ――それは存在しないとして完全に処理してしまうことは、正しいのだろうか?  彼らには少なくとも、『存在しなければいけない』という義務は存在しないが、決して『存在してはいけない』というわけではない。  果たして“彼ら”が存在するとすれば、『人間たち』が彼らに抱く感情、感想をどのように受け止めているだろうか?  ――と言っても、全ての答えを知っている者はいない。  しかし、一つだけ。“彼ら”がこの世界に、しっかりと“存在している”という答えだけは、“彼ら”自身が持っていることだろう。おそらく、ほんの少し“彼ら”は人間と生きる歯車がかみ合わないだけなのだから――    
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