秘密結社ヘルサターン秘密基地にて 

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 イーーッ!  イーーッ! 「いやぁ、見回りご苦労。異常は?」 「ないない。あるわけ無ぇよ。ってか、こんなこと、アホらしくて実際やってらんねぇっての。侵入者――つっても警戒されるのは、巨大ロボット有するカラフルな五人組とか、腰にやたらダサイベルト付けてバイクとか乗り回すはぐれ改造人間とかだろ? でも、ぶっちゃけ言っちまえば……」 「口を慎めよ、戦闘員1934号。幹部連にでも聞かれてみろ? 即座に主力怪人部隊への編入だぞ?」 「うぇ!? やめてくれよ戦闘員1539号。主力怪人部隊への編入って、左遷もいいとこだぜ。傷害手当や死亡手当は付かねぇわ、司令官クラスに改造手術されて爆死フラグ立っちまうわ。……そりゃまぁ、給料はべらぼうに高いけどさ」 「給料ねぇ……にしても“秘密結社”なんて現実的な職じゃないよなぁ」 「同感だぜ」  秘密結社ヘルサターン。一言で言うところの悪の組織。しかし秘密結社というわりには、一般人の知名度は極めて高い。  活動内容は多岐に渡るが、とりあえず、改造手術を受けた怪人達が、幼稚園バスジャックや市営遊園地占拠など、やたら社会的に意味のないような“悪さ”をする組織だ。  何か事件を起こすたびに、『正義の味方』と呼ばれる、同じく改造手術を受けた人間達と戦い――必ず負ける。  基本的に、相手が戦隊モノだったら、一回爆発した後に、巨大化して更に爆死。ライダーとかだったら蹴られて爆死。巨大ヒーローとかだったら、光線当てられて爆死。  基本的に、主力怪人部隊に編入させられた怪人たちは、爆発してその生命を全うする。道徳観や、倫理観に関係なく……『正義の味方』は彼らを『断罪』『治安維持』という名目の下、毎週殆ど同じ時間に容赦なく爆死させる。  それなのに、『正義の味方』は常に民衆のアイドルだ。彼らを非難する人間はいない。何せ彼らは『地球平和の為に戦う超絶ヒーロー様たち』なのだから。
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