【旋 律】後編 第十三章

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  裕子は放心しつつ、横にいる布施をなんとなく見た。 裕子の視線に気付いた、布施は笑みを見せた。 「よくできました」 「わ、私は何もしてないわ」 赤面しながらそう言った裕子に、 「つらかっただろ、よく根を上げなかったな」 布施はそう言って優しく頭に手を乗せた。 「私、痛みには強いの。 盲腸になった時もギリギリまで我慢して、逆に先生に怒られたことがあるくらいだし。 それに布施君が優しかったから……」 「ふぅん、我慢強いわけだ」 「ええ、まぁ、割と」 裕子はためらいながら頷いた。 「いいな、嫁は我慢強いに越したことはない」 そう言って笑みを見せた布施に、裕子は眉をひそめた。  
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