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「……円香、僕は今すごく幸せだよ。
ずっと忘れられずにいた女性と奇跡のように再会して結婚できて。
亜美という明るく元気な娘もできて。
……もう、これ以上ないくらい、僕は幸せに感じてる。
こんなに幸せで何か悪いことが起こるんじゃないかって不安に思うくらいだよ」
楓はそう言って、小さく笑った。
「楓くん……」
「もし円香が僕の子供を宿してくれたなら、そんな嬉しいことはないと思う。
でも、それがないからといって悲しくはならない。
僕はもう本当に十分に幸せなんだ。
それ以上を望みすぎて、全ての幸せを失いたくないと思っているよ。
……僕は円香がいてくれたなら、それでいい」
優しい中にも強い口調でそう告げて、楓は円香の手をギュッと握った。
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