出会い

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俺がこいつを拾ったのは、まだ寒い3月の始めの頃だった 学校から自転車で20分ぐらいのところにある、ぼろいアパートの階段を上り自分の部屋が見えてきたとき、一つの影が見えた 最初は黒いごみ袋かと思ったが、近づいてみるとそれは真っ黒のコートを着た、人だということに気づく 「おぃアンタ人の家の前で何やってんの?邪魔なんだけど」 別に俺は普段から口が悪い訳ではない ただ、不審者に気を使う必要など無いと思っただけである 声をかけてもピクリとも動かないそれを見て俺の苛立ちは大きくなる 「ちょっと!寝てんのかよ!さっさと起きろ!!」 肩と思われる部分に手を当て、前後に激しく揺らすとやっと起きたのか「んぁ?」という何ともマヌケな声を発しやがった
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